映画記録(大統領の料理人/アイランド)


・大統領の料理人

レビューでみんな言ってるけど(私は視聴前にレビューを読まないので、視聴後に目を通しました)、ページに書いてあるあらすじと本編の内容が違う。笑 そんな展開は本編になかったぞ!!
フランスの田舎町にいたところ、ある日とつぜんエリゼ宮殿に連れていかれて大統領の専属料理人に指名される主人公。
そこで大統領のために料理を作るシーンと、南極の食堂でコックとして働いてるシーンが交互に出てくる。時系列はエリゼ宮殿→南極なんだろうな、となんとなく察することができる。

エリゼ宮殿ではもともとちゃんとしたメインの厨房があり、そこではシェフやスーシェフをはじめ色んな人々が働いている。そこに突然専属料理人と呼ばれた主人公は別に厨房を与えられて、ひとりだけ部下として若い男の子をつけられる。彼はパティシエ。
でも元からいたシェフたちには疎まれ、いやがらせを受ける主人公。いやがらせといっても、指定した食材を用意してもらえないとか設備を使わせてもらえないとかその程度です。食材は契約してる業者があるだろうし、メイン厨房にはメイン厨房の仕事があるので、まあ組織の中で働くならしょうがないよね~と思うくらいの内容だった。
むしろ主人公は「大統領に指名された」という事実を強みに相手に迫っていくので、いくら自分の中で料理に対するこだわりが強いとはいえもうちょっと周囲と馴染む努力をすべきなのでは…と感じました。そこが自分が作った自分のお店でない限り、限られた条件やコストの中で工夫をするのが組織内での仕事だと思うからです。条件を交渉したいならもっと周囲とコミュニケーションをとるべき。

主人公は家庭料理のプロで、大統領はそういう家庭料理が食べたくて主人公を指名したという。たしかに次々と出てくる料理はどれもおいしそうで、うたうようにレシピを読み上げるシーンもとても楽しい。この映画のいちばんの見どころだと思います。
私はこういう料理映画が好きなのですが、人間関係はわりと二の次で、どういう料理が出てくるのか、それはどうやって生まれたのか、というところがいちばん見たいところです。なので食材到達や調理のシーンはおもしろかった。

それでなぜか南極の食堂でシェフをしてる主人公。話が進むにつれて、どうもエリゼ宮殿での仕事を辞めて南極に来たんだろうなとわかってくる。どういう経緯でそうなったのか、というのが視聴していて最も気になるところだったのですが、普通に周囲の圧に耐えられなくなったのと、身体を悪くしたからというのが理由でした。めっちゃ普通…!!
南極で働く人々のために料理をつくる主人公はとてものびのびして楽しそうで、時々さびしそうだけれど、基本的には「こういう職場のほうが彼女には向いてるんだろうなあ」という感じ。だからとても良い選択をしたと思う。
でも大統領の料理人をやめ、エリゼ宮殿から去るときの描写が…決して後味が良いといえるものではなかったので、どうして南極なんかで…というような雰囲気をどうしても感じてしまうのがなんだかなあと思った。すごくいいと思うんだけど、南極。
でも最後は南極に来てよかった、という感じで終わりました。そうだね(感想)。

大統領の料理人を辞めてしまったことを挫折だとは私はまったく思いません。大統領も加齢で食事制限をしなければならなくなって、そうなると栄養やカロリーを考慮して食材に大幅な制限がかけられる。当然今までのようにコストやカロリーを無視したおいしいごはんばかり作っていればいいわけではいられなくなる。
大統領自身はこれまでのように彼女が作ったおいしい家庭料理を食べたいという希望だったけど、大統領の周囲にいる人間は彼の健康を守ることが仕事なんだから、希望を通すわけにはいかないわけです。悲しいけどしょうがないよね。周囲の人が悪者なわけではない。
だからあんなちょっと後味悪い感じで描かれてもなあ…と微妙な気持ちになった。

あと私がいちばん心残りになってることは、主人公の下で唯一働いていたパティシエの若い青年ですよ。主人公がエリゼ宮殿から去るとき、彼に対するフォローが一切描かれていなかったのがめちゃくちゃ気になる!!
彼はあのあとメイン厨房にちゃんと戻してもらえたのだろうか? 正当な評価を受け適切なポジションで働かせてもらえてるのだろうか? そういうところがすっごい気になって仕方がない。退職に追い込まれたりしてないよね!?
もしもまじで彼へのフォローが一切ないまま辞めてしまったんだとしたら、ちょっと信じられないですね。今まで本当に色々とサポートしてもらって、しかもパティシエとしての才能もあった。どんな仕事でもそうだけど、部下や後輩を育てていくのってすごく大事なことじゃないですか。
家庭料理は伝統料理にカテゴライズされるものが多いから、主人公が本当に家庭料理を愛していてこだわりがあるなら、部下の育成や自分が去った後のことを考えての周囲への根回しなんかは尚更に絶対必要なこと。
この映画では全体的に主人公の家庭料理へのこだわりが強く描かれていたので、部下へのフォロー描写がなかったのは良くないと思う。

出てくる料理たちはどれもおいしそうで素敵。作ってるところを見るのも楽しくてよかった。私もなんか作りたいです。

 
 

・アイランド

ネタバレを含みます。
近未来SFっぽい話。世界が汚染され、主人公を含む生き残った人々たちが暮らすコミュニティ。その中で、唯一汚染されていない最高の楽園「アイランド」へ移住することがコミュニティで暮らす人々にとっての最大の夢だった。
コミュニティは超管理社会的な施設で、毎日の健康や食事、運動、睡眠をはじめ着用する服まで管理されている。彼らを管理する側の人間もいるので、管理されている人たちはたぶん普通の人間じゃないんだろうなあと察することができる。

今日もまたひとり、アイランドへの移住者が決定した。それは抽選で選ばれるという。抽選ではなく何か規則性があるのでは? と考える人がいたり、自分が選ばれなくて悔しがる人がいたり、と色んな人がいるんだけど、誰も今の環境に疑問を持たない。そんな中で主人公だけが疑問をもつ。なんで毎日同じ白い服を着なければならないのか? なんで食べたいものを食べられないのか?

ある日、主人公がこっそり入り込んだ施設の裏側で、「アイランド」への移住が決定した妊婦が出産し、子どもだけ取り上げられてその後殺されるところを目撃してしまう。殺された母親そっくりの女性に生まれたばかりの子どもを渡すところまで見たが、その女性は殺された母親とまったく同じ外見をしていた。
そこで、自分たちはクローン人間で、誰かのスペアだということを知る主人公。「アイランド」は本当は存在してなくて、臓器が必要になったりすると「アイランドへ行ける」と別室に連れていかれて、臓器を取り出された後に殺される。使い捨てのスペア。

その後、主人公が惹かれている女性(彼女もクローンで、アイランド行き=死がすでに決定されていた)と一緒に施設を逃げ出す。
施設に雇われた軍人あがりのシークレットサービス的な人たちが主人公たちを捕まえるために追うんだけど、このあたりがアクション満載でおもしろかったです! 大人版ホームアローン(相手は死ぬ)って感じ! 主人公たちはクローンで教育なども制限されているので、少年少女くらいの知識しかないの。クレジットカードの使い方も知らない。
そんな彼らがホームアローン的なあれこれで軍人あがりのつわものたちを振り切り、やがて自分の「元」の人間(つまりクローンを発注した依頼者)を探し出す。

この世界にはクローン技術が発展するにあたってきちんと法整備もされていて、色んなことが厳しく制限されている。でも主人公たちのいる施設はそれを思いきり破っていて、クローンの発注者たちはクローンが人格を持ち意思を持っていることを知らない。「植物のようなもの」と教えられていたから。
こういうクローンもので見どころとなるのが、クローンとその元になった親と顔を合わせるシーンだけど、そのあたりもおもしろかったです。

それですったもんだした主人公は、元いた施設の仲間たちが「処分」されることを知って、彼らを助けるために施設を潰すことを決意する。
悪い博士とのバトルや敵キャラとの共闘など、つっこみどころは満載だったけど少年漫画的展開で楽しめた。
最後はもちろん美女ヒロインとのハッピーエンド。そしてふたりは幸せに暮らしました! めでたしめでたし! 以上!

ストーリーに特に言及はない。ちょうどこういうのが見たかったので満足です。こういうSFアクションものって展開は読めるけど、ラストまでどういう風に話が収束していくのかを見届けるのが楽しい。オチがわかりきってる分、安心して見られるから良いですね。