おたく2人、海辺ドライブ旅を満喫する。

海が好き。
推しカプをすぐに海へ行かせてしまうくらい海が好き。
春の海は霞がかってぼんやりとした空と水平線の境目が曖昧になる感じが好きだし、夏の海は陽光を浴びて水面がきらきら輝いている力強い感じが好き。秋の海は夏のひとけがすっかり去ったものさびしさが素敵だし、冬の海は低くかかる厚い雲の下で灰色の波が高くうずまいている底知れない感じが好き。
山の四季が美しいように、海の四季もまたよい。いつ行ってもなんかめっちゃエモい気分になる。いみじうあはれにをかしけれってこういう感じなんですかね。

私は生来ものぐさで引きこもりの性質が強く、アウトドアとは割と無縁だった(でもキャンプや海水浴などは家族イベントで経験していた。ありがとう両親)ので、成人してからも海を見に行くことはあってもそこに入ることはありませんでした。水着になりたくなかった。
でも初めて沖縄に行ったとき、その考えを改めました。


海、めっちゃきれいやん!
こんなの入らないともったいなくないですか?(私はもったいない精神が強い) 海外に行ったことのなかった私は、これまでの人生で見た中でもっとも美しい沖縄の海に夢中になった。
そしてほぼ同時期、テレビアニメ「Free!」にドハマりしたこともあり、これまた謎の行動力を発揮して正月明けに沖縄ひとり旅をしてダイビングのライセンスを取ったりしていた。今では立派なペーパーダイバーです。
ウェットスーツが好きじゃない&船酔いしやすいという理由でダイビングからは足が遠のいているけど、シュノーケリングは好きで、今でも年に一度は必ず泳ぎに行く。

そして昨年、初めて千葉県の館山で泳いだんだけど、それが思いのほかすごく楽しくて、それからずっとまた館山に行きたいなあとぼやいていた。海に入れなくてもいいからまた館山に行きたい。あのへんは宿が安く、温泉もあり海鮮料理がおいしいので、都心部からのちょっとした旅行にはとても良いスポットだと思います。

最近むしょうにドライブがしたく、かつ海を見に行きたい気持ちが高まっていた。つまり館山ですね。車で館山に行きたかった。
5月中旬のとある木曜日、「どこか自然の豊かなところに行きたい」とTwitterでぼやいていた友人に「今週末ドライブ行かん?」とかなり軽率に声をかけたところ、なんとオッケーをもらえたのでうきうきとレンタカーの手配をした。こういう時に「いいよ行こう!」とふたつ返事でのってくれる友人がいるというのはとてもありがたいことです。ありがとう!

そういうわけで、今回は急きょ館山へドライブに行くことになった時の話をします。

館山(たてやま)市は千葉県房総半島の南のほうにある。西から館山市、南房総市、鴨川市という並び。鴨川市はアニメ「輪廻のラグランジェ」で舞台になってましたね。
館山市はX JAPANのYOSHIKIさんとToshIさんの出身地で、17時になると防災無線で「Forever Love」が流れる。私の地元では子どもたちの帰宅目安として17時になると「アマリリス」が流れていたんだけど、そんな感じで「Forever Love」が流れる。初めて聴いた時はたまげた。その時は何も知らずに浜辺で友人とだべっていたんだけど、突然ひとけのない海辺に響き渡る「Forever Love」。その数時間前にふんどし姿の男性が大量に海から上がってくる光景を目撃していただけに(きっと何かの祭りの練習だったんだろうと思う)、館山という概念は私たちの記憶に強く残っている。

ちょっと脱線した。ドライブの話に戻ります。

朝、誘ったくせに私が二度寝して遅刻するというクソをやらかす。もう……バカ! バカバカ!
約一時間遅れでレンタカーショップを出発。
久しぶりの運転と初めて走る土地にどきどきしていたんですが、高速道路の入り口が非常に複雑な形をしており入った瞬間「これ逆走してない!?」とパニックに陥りかける。逆走じゃなかった。本当によかった。この間もそこを車で通ったんだけどまじで初見殺しやなと思いました。何度行ってもドキッとしそう。

道中はおたくふたり旅なので、おたく的な会話をめっちゃしたと思うんだけど具体的に何を話したのか忘れた。なんだっけ?
たぶん「執行人を見たら降谷くんのことがますますよくわからなくなってつらい」みたいな話をしていた。過去の自分との解釈違いで心身がバラバラになりそう。

ドライブ旅で好きなのがハイウェイオアシスへの寄り道です。道の駅とも併設したりしていることが多いので、そういうところでご当地ソフトクリームなんかを食べるのが大好き。
この時は「道の駅 富楽里とみやま」というところでトイレ休憩も兼ねてつまみ食いすることに。これ、富楽里と書いてふらりと読むらしい。こういう当て字も道の駅って感じでめっちゃよい。

道の駅で車から降りて一枚。良い天気~! 超ドライブ日和。

これはなんか聞いたことのない魚をフライにしたやつ。名前忘れた。ご当地って感じ。おいしかった。

自然豊かな場所へ行くときに連れてきているねそぬいくんの写真。顔がかわいいです。

 

その後ふたたび高速を走り、到着した最初の目的地、「館山なぎさ食堂」

ここは「みなとオアシス”渚の駅”たてやま」という商業施設で、道の駅みたいなものなんだと思う。地元の特産品を販売しているお店があったり、レストランが併設されていたり展望デッキがあったり。今回は行ってないけど、さかなクンさんのギャラリーもあります。
寄った時は見かけただけだったので、今調べてみて「さかなクンさんのギャラリーとは?」と興味関心がとまらない。さかなクンさんのギャラリーとは!? 気になる。次行ったら絶対見にいく。

レストランでお昼を食べることにしたのだけど、テラス席へ案内してもらえることに。

テラス席からはすぐそばにある海が一望できる。天気も良かったので最高のロケーションだけど、それにしても暑い。暑すぎる。5月ってまじですか? 夏やんこんなの。
ハイシーズンである夏はどうなるのかわからないけど、この時はパラソルなどの日よけがなく、建物側にわずかにできた日陰に入る。あとテラス席ではワンちゃんも一緒に入れます。この時もちょっと離れた席にペット連れのお客さんがいました。


お昼ごはん。海鮮丼だよ~! ウニ!! ウニ!!!
上に乗っているお刺身もかなりボリュームがあったのですが、米もすごい多くて必死に食べた。

食後はすぐそばにある「館山夕日桟橋」の先まで行ってみることに。さっきの写真に小さくうつってた桟橋ですね。
でもその前に、レストランの下の階にあるお土産やさんで下見をしていると、興味を引くものが。


フルヤコーヒー。
「フルヤじゃん!」「フルヤだ!」と友人とはしゃぎながら購入した。おいしかった。オタクはこういう時あらゆるものをこじつけて楽しむメンタリティがあるのでおもしろおかしくて良い。フルヤ(古谷)乳業さんは千葉市の会社らしいです。

フルヤコーヒーを飲みつつ桟橋を歩く。この日はどうやら「おがさわら丸」が寄港する日だったらしく、桟橋の先端へ行くとセレモニーのために旗を振っている市の職員さん(たぶん)がいました。
調べてみたら、三代目おがさわら丸として館山に寄港するのはこれが2回目。年に一度しか寄港しないらしい。めっちゃレア! ちなみに今年2018年は小笠原諸島返還50周年の年なんだとか。ずいぶん最近のことなんだなあと驚きました。



これに乗って小笠原に行きたかった。
この船で太平洋を行くんだと思うとかなり小さい船だなと思いました。私も小笠原に行きたくて調べたことがあるけど、これで片道23時間近くかかるとか。船酔いがえげつないらしい。この大きさの船だとそりゃ揺れるわなと思って行く勇気がでない……。飛行機が出てくれたら行きたいんだけど……。
船にはすでに人が乗っていたので、おそらく竹芝から出港して館山に寄り、そのまま小笠原へ向かうんだろうなと思います。とても天気の良い日で、これから旅に出る人たちのわくわくした笑顔が素敵だった。小笠原、いいな~!

おがさわら丸とねそぬいくん。この景色、年に一度しか見られないんだよ!

 

桟橋を後にし、次は沖ノ島海水浴場へ。
もちろんまだ泳いでいる人はいないんだけど、夏になると駐車場が車でいっぱいになる人気スポット。ビーチや磯では子連れで遊べるし、シュノーケリングを楽しめるポイントもあって楽しい。
昨年泳ぎにきたんだけど、このあたりは想像を超えて海がきれいでびっくりした。こんなきれいなところが千葉にあったのか! 灯台下暗し。



これは昨年の夏の写真です。
水中動画もあったので載せておきます。

今回はシーズンオフなので、人は全然いない。チャンスとばかりにねそぬいくんの写真を撮りまくった。




なんかウミガメみがある。
アラサー女ふたりが海辺でぬいぐるみの写真を撮りまくっている図は傍から見れば奇妙なものですが、ここには私たち以外に人がいないので大丈夫です。

沖ノ島には遊歩道もあって、それほどきれいに整備されているわけではないのですが、お散歩にはとてもちょうどいい気持ちのよいところです。


ただ海に面しているところから遊歩道への入口がややおどろおどろしいので、「ここ入ってみようよ!」「いいよ~」というやり取りの続きに「そうしてふたりは鬱蒼と繁った林の中へ消えていくのであった。それが悪夢の始まりとも知らずに……」とかいうモノローグを勝手に付け足して「物騒なこと言わんといてや!」と怒られたりしていた。こういう小さなところから想像力を膨らませていくのは楽しいです(悪夢はありませんでした)。洒落怖だったらこの後絶対奇妙な祠を見つけるんだよね。

 

岩場に座って海を眺めながら休憩した後、海風が強くて冷えてきたので移動することに。
次の行先は洲埼(すのさき)灯台。海といったら灯台だよね。
房総半島で最も西の場所にある灯台なんだそうです。今も現役で動いてるよ。
晴れた日には富士山まで見えるらしい。すごいな! 灯台にやってきた頃には曇ってきていたので富士山は見えず。でもなんかうっすら向かいに……向かいになんかの半島が……あれ? あれは富士山では?(幻覚) みたいな感じで伊豆半島だか三浦半島だか富士山(幻覚)だかの気配を感じることはできた。
写真がないので4travelのページを貼っておきます。

なんで写真がないかって、iPhoneを車の中に忘れてきちゃったからです。階段をぜんぶのぼりきった後に気づいた。もう階段のぼりたくなかったので諦めました!
灯台をすぐそばから眺めることはできるし展望台もあるけど、灯台の中に入ることはできないので注意です。そういえば、灯台の中に入ったことってないかも。神戸港旧信号所なんかはよく眺めに行ってたけど、あそこも中には入れないので。
いつか灯台の中に入ってみたい。入れるところを探そう。

 

続いて、洲埼灯台から歩いていける距離にあったお台場海浜庭園へ行ってみることに。
事前におもしろそうなスポットを調べて行ってたんだけど、この海浜庭園は公式サイトを見た瞬間「行かなきゃ!」という強い思いに突き動かされた。

サイト見た? 見てください。
初めてページを開いた瞬間からホームページビルダーの霊圧をガンガンに感じることができて大層興奮した。「海の散歩道」のページとか見てるとウワ~~ッて叫びながら走りだしたくなる。
メールの連絡先もhotmailだし(hotmailってまだ使えるんだ!?)、このサイトの歴史とか施設の運営事務所の人が頑張って作ったんだろうなとか考えるとめっちゃエモい。
写真集のページも良いですね。人々がキャンプを楽しんでいる写真や海辺の植物の写真、富士山の写真が並んでいる中、とつぜんカラスの交尾写真があらわれるところとか良い。
というかこんなにはっきり富士山見えるんだ!? すごい。夕暮れ100選(100選とあるけど写真は100枚もないところがまた良い)のページとか、夕陽と富士山がはっきり写っているものがいっぱいあって驚いた。富士山見たかったな~。

そんな感じで、事前に友人にサイトを共有し「千葉のお台場」への期待を高めあっていた。



入口の時点で「なんだかよくわからないけどヤバそうな感じがする」と狼狽える友人と私。でもここまで来たんだから行くしかないっしょ!
受付のおじさんに入園料を払うと「海の散歩道がいいよ~!」と教えてくれたので、お礼を言ってそこへ向かうことに。


謎の高くて細い棒(めっちゃある)にペイントが施されていたり、もともと生えていた木をぶったぎってペンキをぶっかけたオブジェ(?)があったり、とにかくそのへんに置いてある何かにペンキをぶっかけたものだったり、現代アートを鑑賞している時の「これは何?」という疑問がたえず降りかかってくるような感じの空間が広がっている。私たちはすっかり浮足立って周囲のいろんなものを写真に撮りまくっていた。
おそらくこの曇り空の影響がかなりあると思うんだけど、そこはかとなく不安心が煽られる光景です。

丸く生きる。
「怖い!」「なんで赤字にしちゃったんだろう」などと騒ぎまくる我々。シーズン前のせいで人が全然おらず、海風は依然として強く曇っていたため、光景のシュールさにますます拍車をかけていた。


どうしてこんなところに看板立てちゃったんだ。良い景色なのに……と最初は残念に思っていたものの、慣れてくるともはやこの看板がないと落ち着かないというかものたりない。

手書き文字のワイルドさもあいまって「十分ご注意を」になにかとても意味深なメッセージ性を感じる(岩場は滑りやすいので足もとに気をつけましょう)。

良い景色。


どんな時でもどんな場所でもねそぬいくんはかわいい。

手前の電柱に施されている装飾がめちゃくちゃ気になるけど、海浜庭園からはさっき行った灯台もみえる。こうやってずっと海の安全を守ってきたんだろうな。

岩場でひととおりはしゃぎ、そろそろ帰ろうかと引き返していると何やらめっちゃ興味を引くものが目に入った。




2人「絶景見晴らし台だ!!」
海浜庭園ワールドにすっかりハマっていた私たちはテンションMAXで「絶景見晴らし台! 絶景見晴らし台!」と叫びながら絶景見晴らし台にのぼった。周囲に人がぜんぜんいないので叫んでも大丈夫。


絶景見晴らし台から撮影した絶景写真と絶景パノラマ写真です。
「あれ、家建ってるじゃん」って思いましたよね。これ貸別荘なんだそうです。泊まりたいすぎる。別荘の中にお風呂はあるみたいなんですが、別荘に隣接して絶景貸し切り風呂なるものもありました。めっちゃ気になる。夏に海で遊んでそのままお風呂が貸してもらえるの、良いですね。しかも絶景らしいし。
あと貸別荘も含めてあたり一帯の私有地をロケセットスタジオとしても貸し出している模様。庭園に入ってから「そのへんの繁みから方言の強すぎるおばあちゃんが出てきたら完全に劇場版トリック」と友人と話していたんだけど、すでに何かのドラマや映画に出てるんですね。今調べてみたらホラー映画(わかる)や土曜ワイド劇場(わかる)のほか、秘密の嵐ちゃんでも撮影場所として提供したことがあるみたいです。へ~!

 

海辺の自然を大満喫し、帰る前になぎさの駅に寄ってお土産を買いました。ご当地ポテチとカップラーメンという自炊をする気がまるでないラインナップ。地元で収穫したお野菜などもたくさんありました。
あとこれ!

フルヤ。
これめちゃくちゃおいしくて一瞬で吸い込んでしまった。もっと買えばよかった……。次に行くときはいっぱい買うぞ!
他のお土産は写真を撮る前に完食してしまいました。おいしかったです!

 

こうして館山を後にしたのですが、帰りに寄り道をしました。


江川海岸です。
千葉県木更津市にある潮干狩り場なんだけど、陸上から海へ向かって電柱が建っている、とても不思議な風景を見ることができます。
この電柱はもともとアサリ密漁を監視するための小屋に送電するために建てられていたそうなんだけど、今はもう使われていないみたいです。いつ撤去されてもおかしくないんですね。
干潮時は砂地があらわれてシーズンには潮干狩りを楽しめるそうなんですが、潮が満ちている時に行くと、海の中へ続く歩道橋などおもしろい景色が見られます。
到着した時間がちょうど日没の頃で、美しい夕空が広がっていました。


月と飛行機。羽田かな、成田かな。

江川海岸、前にも一度来たことがあるんだけど、時間帯や天気によって雰囲気ががらりと変わるので本当におもしろいです。ぜひまた行きたい。
電車でも来れないことはないみたいなんだけど、タクシー必須だと思います。JR内房線岩根駅がいちばん近いかな?

 

館山日帰りドライブ旅、とても充実していた。個人的にはお台場海浜庭園がメチャアツの珍スポットでしたね。ただ帰宅してInstagramで検索してみたらめちゃめちゃおしゃれな写真で溢れていて、私たちのような楽しみ方をしている人が誰もいなくて友人と一緒に愕然とした。マジで……!?
きっと夏まっさかりの時期に行くと、今回とはまた違った方向でめっちゃ楽しめるんだと思う。行きたいな~!