映画記録(キャロル/昼顔)

最近映画を結構見ているんだけれど記録が追い付いていない。
忘れてしまう前に感想をちょっとずつ出していきます。

 

・キャロル

前々からウォッチリストに入れていて、でもなかなか手のつけられなかった作品なのですが、オーシャンズ8でケイト・ブランシェットを浴びたので良い機会だなと思ってこちらも見てみました。

主演の女性ふたりがとにかく美しい。
男性の恋人がいるにもかかわらず、既婚者である年上の魅力的な女性キャロル(ケイト・ブランシェット)にどうしようもなく惹かれてしまうテレーズ(ルーニー・マーラ)。これだけだとありきたりな恋愛ドラマの同性愛版って感じなんだけど、出会いから惹かれ合い、別れを余儀なくされるところまでの演技・演出が非常に繊細で美しい。言葉がなくても、表情やしぐさ、視線の揺れ動きだけで感情が波紋のように伝播する感じがある。

キャロルのどこか陰のあるミステリアスさは彼女の美しさを完璧なものにしていて、テレーズが惹かれてしまうのもやむなしと思うくらいの説得力があった。おそらく十歳くらいは年齢差があると思うんだけど、それくらい歳の離れた女性って同じ女性でも異性と同じくらい実態がわからないんですよね。だからすごく完璧で魅力的な女性のように思えてくる。

話が進むにつれて、キャロルがどのような状況におかれているのかが少しずつ明らかになってくる。
同性愛者で、夫と娘がいて、娘を何よりも大切に思っているけれど夫のことは愛していない。円満に離婚して、本来の自分らしく生きたいと願っているけれど、夫から向けられる執着(愛だと思う)に苦悩している。
完璧だと思っていた年上の女性が実はそうではなかったことを目の当たりにして、だからこそますますのめりこんでいくテレーズ。
このへん、直接的な言葉がなくともテレーズにすごく感情移入することができておもしろかったです。

作中の時代は同性愛が病気とされ、心療内科や精神科による治療が必要とされる時代です。
そんな中、自分らしく生きることや愛したいひとを愛することについてまっすぐに見つめ、苦悩しながらもそれを諦められないテレーズとキャロルはとても魅力的で美しかった。

一見ひどくドラマティックなストーリーだけれど、派手な演出はなく、全体的に静謐で繊細に作られているところがとても好きだと思った。音楽も良いです。女優さんふたりの演技もすごい。そしてとにかく美しい。
ラストシーンと冒頭がつながっている構成もとても好みで、明るい未来とまではいかないかもしれないけどあたたかみを感じさせるような余韻のあるラストが良かった。

 
 

・昼顔

フィクションの不倫ものが好きです。アトラクションのような感じで摂取してしまう。ドラマ「あなたのことはそれほど」もTwitterで実況するのがとても楽しくて毎週見ながらキレていた(キレながら見るのが楽しい)。
「昼顔」もドラマの方は把握していなくて、単純に斎藤工さんと上戸彩ちゃんの不倫カップル演技が見てえという欲望のみで視聴しました。

不倫ものは大抵最後になにかしらの罰があって、それがドラマの醍醐味となっている気がするのですが、こちらの作品にもちゃんとありました。罰といってもいいのであろう出来事が。
実際に不倫する人の気持ちは私にはわからないので感情移入はできないけれど(ドラマ版も見てないし)、全編通して中だるみがなく一気に見ることができました。登場人物の方々の演技もすごいです。

不倫がバレて、夫も家も失って「不倫相手と二度と会いません」という誓約書を書かされ、新しい街に引っ越してバイトを始める主人公のシーンから始まるのですが、冒頭の誓約書を読み上げるシーンでもう引き込まれた。
主人公の性格が世間知らずで甘っちょろすぎでしょ(いわゆる「お花畑」状態)と感じるシーンが多々あるのですが、そこがまた「だからこんなことになった」という物語全体の説得力に繋がっているなあと感じた。こういうタイプの人に会ったことはないけれど、実際いるんだろうなあと思わせられる感じ。

不倫相手の妻も狂気を感じられてめちゃくちゃよかったです。不倫するふたりをホテルの部屋に連れて行って「私の目の前でセックスしたら解放してあげる」と言うシーンがあまりにも好き。性癖に刺さる。

ネタバレになるので詳細な出来事は伏せますが、これだけは言いたい。メガネ丈夫すぎない??

おもしろかったです。